企業年金連合会が公表している確定拠出年金統計資料によると、iDeCo加入者数はここ数年、年率60%という高い伸び率で増加している。
老後の2,000万円問題や年金に対する不安が広がる中で、個人の金融資産への意識が高まっているように感じます。
iDeCoはそういった将来の不安に対して、個人で退職金を作る制度です。
厚生労働省が発表している就労条件総合調査によると、退職給付制度を採用している企業は80%ほどになります。
内容の詳細になると、従業員1,000人以上の企業の90%超が採用し、従業員規模が小さくなるにつれて制度採用割合は低くなっている。
また、公務員には退職手当として別途退職給付制度が採用されています。
つまり、公務員や大企業の正社員(職員)として採用されていれば、ほぼ退職金が支給されると言って差し支えありません。
しかし、いくら一部上場企業など大企業や従業員に手厚い企業であっても契約社員やアルバイトなど非正規職員には退職金がありません。
つまり、正規でなければ退職金はないということです。
その人たちのための制度とも言えます。
そのため、iDeCoでは非正規職員に対しては正社員よりも拠出限度額を高く設定しています。
正規労働者であれば12,000円
非正規労働者ならば23,000円
ちなみに、自営業は68,000円です。
そのため、いくら華々しい職務プロフィールが書かれていても、iDeCoに23,000円積み立てていると言ってしまうとその人は非正規である可能性が非常に高くなることになります。
つまり、いくら職場が大企業であっても所属は派遣会社という可能性が高いということです。
その人たちは企業が毎月差額の11,000円を勝手に積み立ててくれることもなく、初めから退職金の土俵にあがっていない残念な人達です。
IDeCoが現役時代の所得税減税に有効と謳っていても、退職金制度のある社員であればそもそも給料として支払われておらず、もちろん所得税も払っていません。
つまり、「iDeCoで年間276,000円も所得控除を受けられてお得」というのは本質的には勘違いで、退職金制度のある社員は給料をもらう前段階で会社によって積立投資され、所得税すら払ってないのです。
非正規でiDeCo加入していなければ非常に損、iDeCo加入して面倒くさい手続きをすることで初めて正社員と同等以下の身分になれるのです。
さらに言うと、退職金のある企業の正社員でiDeCoにも加入すると非正規では到底追いつけないほど無敵な存在になれます。
そしてそれを後押しするように、確定拠出型年金を採用している企業の正社員に対して限度額の上限が20,000円まで引き上げがされます。
また、将来的には確定給付型年金を採用している企業の正社員も上限が引き上げられる可能性があります。
ただし、退職金のある会社の正社員であっても、企業内で退職金の運用が行われている場合、倒産してしまうと満額貰うことが出来なくなる可能性があります。
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