昨今、アクティブファンドの人気は下降の一途を辿っている。
パッシブファンドにアウトパフォームすることを目的にしたファンドにも関わらず、現在の潮流は信託報酬の安さだけが売りのパッシブファンドになっている。
特にAIを利用した次世代型のファンドであっても同じことが言える。
そのようになった原因は高い信託報酬を受け取っているにも関わらず、収益率がパッシブファンドに劣るという点に尽きる。
学歴や経歴においても特に優秀な部類に属し、金融商品を熟知しているファンドマネージャーであっても、実際の運用に関しては素人止まりである。
頭脳明晰な人物が選んだ銘柄とサルが選んだ銘柄でパフォーマンスは変わらない、ましてやサルの方が優秀だったとする書籍もあるくらいだ。
ではなぜ、AIや優秀な人物であっても高収益のファンドを組成できないのか?
まずはファンドの組成手順を確認してから、それらに起こるエラーを検証していく
1.有効なファクターを考察する。
2.ファクターを複数合成し、合成ファクターを生成する。
3.合成ファクターを過去の相場と突合し、有効性を検証する。(バックテスト1回目)
4.合成ファクターに最も効用のあるポートフォリオを構築する。(バックテスト2回目)
5.
最も効用のあったポートフォリオの構築方法を検証する。(バックテスト3回目)
手順としてはこれでほぼ全てになる。
何度も過去の相場情報でバックテストを行い、最も優れた運用成績とリスクコントロールで生み出したファンドです。
これは定量分析を行ったクオンツファンドとも言われます。
しかし、それでも運用成績が優れているとは言えない。
なぜ、このような事態に陥るのでしょうか?
1点目として、過去の相場情報と突合しているため、現在や未来の相場と完全に適合しないという点です。
いくら過去の相場情報と突合しても過去は過去、未来のシナリオを取り入れていないのです。
また、AIやアルゴリズム取引はここ10年で現れた取引手法で、それ以前は人力です。
人が介在していればいるほど多くのノイズが発生するため、バックテストで多くのノイズを取り込んでしまい予測能力が低下してしまいます。
そのため、バックテストで最も有効であっても、現在の相場の値動きに対して最も有効とは限らないためです。
2点目は優良企業や流動性の高い企業群を選択するため、主要な株価指数と同等のパフォーマンスにしかならないということです。
ファンドは組成した段階で運用方針を決定しなければなりません。
長期の保有者を保護するために運用資産によって方針をコロコロ変えてしまうわけにはいかないのです。
そのため、ファンドに資金が流入した時に運用方針が破綻しないために流動性を大事にするのです。
最後に3点目、ファンドマネージャーは資産運用ができないということです。
証券会社や金融機関の役職員は基本的に有価証券への投資が制限されています。
新卒から金融機関でファンドに携わっていれば、全くの投資に触れていない者が、机上の空論からファンドを組成していることになります。
いくら投資情報に触れていても実際に取引していなければ相場の肌感を知らない素人にすぎないのです。
そのような者達が作ったファンドが成功すると思いますか?
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