
アメリカは昨今の高インフレによってスタグフレーションに陥ると不安視されています。
インフレ、デフレはよく聞きますが、スタグフレーションはあまり馴染みのない経済用語です。
軽く説明すると、スタグフレーションとは不景気な経済状態でインフレが起こってしまう状態です。
通常、モノの価格は需給によって変化します。
需要が多ければ価格が上がり、供給が過剰であれば価格が下がります。
不景気であれば需要は弱くなり、価格が低下することが考えられます。
しかし、スタグフレーションは経済状態とは別の要因によって供給が細り、モノの価格が上がってしまう状態です。
一昨年からのコロナウイルス感染症の影響により、全世界的に旅行などのサービス消費(コト消費)が細り、代わって消費財(モノ消費)の需要が上がっています。
しかし、蔓延防止による工場の休止や港湾の閉鎖などによって生産や輸送コストが上昇し、インフレが発生してしまいました。
一部の国や地域ではワクチン接種によりパンデミックが終息、通常の経済活動が再開されていますが、未だに気軽に旅行やレジャーを楽しむまでには至っていません。
一方の雇用も改善されてはいますが、賃金の上昇は緩慢でインフレ率に比べれば見劣りする状況です。
さらにここにきてウクライナでの紛争によってコモディティ価格の急騰が起こっています。
この物価の上昇率と賃金の上昇率に乖離があり、物価の上昇率が賃金の上昇率を上回ってしまうとスタグフレーションだと言えます。
このスタグフレーションを抑える方法は緩和資金の回収と政策金利の上昇(利上げ)です。
現在、FOMCでは3月にコロナショック後初となる利上げを実施しました。
また、金融緩和に注がれた資金を回収するテーパリングを実施中で、さらにバランスシートの縮小のためQTを行う予定とされています。
つまり、QTによってコモディティに流れる投機資金の流れを止めて物価の上昇を抑え、利上げによる通貨の安定を同時に図ろうと進めている状況と言えます。
これによって起こるのが、金利コストの上昇による景気の押し下げ効果による株式の下落です。
また同時に起こるのは債券価格の下落です。
特に成長株は業績の長期予想を投資材料とするため、金利コストの上昇による景気の押し下げが株価に与える影響は大きなものとなるでしょう。
株式と債券のダブルパンチは投資家にとって手痛いものです。
このような状況下では、インフレが抑えられると思うのであれば、今まで通り株式や債券に投資した方が良いでしょう。
簡単にインフレを抑えられないのであれば、インフレに強い銘柄、コモディティや不動産に投資することです。
インフレに強い銘柄は主に商社、石油卸、製鉄、非鉄、海運、不動産です。
企業が取り扱う原材料が商品取引所に上場されているものであれば、価格転嫁は非常に素早く行われ、収益が守られます。
海運にも運賃指標、不動産は地価などがあり、価格転嫁はスムーズに行われます。
また、価格決定力のある企業に投資することも良いでしょう。
アップルのiPhone、GoogleのWebサービスや大手テーマパークなど代替の効かないサービスを持つ企業への投資です。
簡単に言えば、バフェット銘柄と言われる銘柄群が高パフォーマンスを示すと思われます。
しかし、いずれにしても景気を冷やす方向でしか金融政策が行われないため、金融資産への投資は思うような結果が得られない期間は発生するでしょう。
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