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2022年はアメリカの金融緩和が縮小されるとの予測から、株式市場は軟調に推移しています。

特にハイテクや半導体関連株などを代表とするグロース銘柄は年初からの下落率は20%を超え、未だに下落トレンドの終息は見通せていません。

ただし逆の見方をすれば、直近の高値から2割引で取引されているため高値圏へ再び上昇するとの見通しがあれば、25%もの運用収益をあげられるため、非常に割安で購入できる格好のチャンスとも言えます。

しかし、投資の格言には「落ちるナイフは掴むな」という格言があり、下落期間にアセットを買い増す行為は資産を増やすことよりも減らすリスクが大きいと説いています。
それは果たして正しいことなのでしょうか?

現在の投資の王道である米国株インデックスETFへの長期積立投資では「株価は経済成長とインフレのダブルのエンジンによって、いずれ高値を更新していくだろう」というのが一般的な考えとなっています。

であるならば、このセール価格で取引されている時期に積立額を増やしたり、スポット購入を行えば目標を超える高パフォーマンスをもたらしてくれると、一般投資家は容易く考えることが出来ると思います。


しかし現実は下落トレンドから半年が経とうというのに年初来安値を更新し、買い増しを繰り返していたら損失は当初よりもさらに拡大させてしまっていることになります。

つまり、下落期でのアセットの積み増しは戦略によっては大きな利益を得られるが、加速的に損失を拡大させてしまう危険が潜んでいるということです。

 

こうなってしまった原因は、単に高値から下落率のみを参考にし、株価だけを見て追加購入したからです。これは非常に稚拙な戦略だと思います。

「未来の株価変動はわからない」と考えるのと同様で、「何%下落すれば下げ止まる」というのは誰にもわかりません。

米国3指数のETFであればそれほど問題にはならないかもしれないが、特定の国家やテーマ型のETFでは銘柄の分散効果が薄く、破局的な暴落が起こってしまう可能性はゼロではありません。

「最高値から2割下落したら追加購入、3割下落したらさらに追加購入、サーキットブレーカーだ追加購入」などと戦力もなく株価だけを追ったナンピン戦略では損失は膨らむ一方です。

 

では下落局面で割安にアセットを買い増すためには何が必要なのか?

それは下落要因が解消される見通しが立つまで待つことです。

例えばリーマンショックの時であれば連鎖倒産が回避される見通しが立つまで、コロナショックであれば緊急緩和政策が成立するまで待つことが最適な答えでした。

下落局面を終わらせられる投資環境に戻るまで、無用なアセットの買い増しは必要ないのです。

 

投資においては大きな下落が起きれば、次は大きく値上りが起こるだろうと一切考えてはいけません。

これはGAFAMが20年間も大きく上昇したから、今後は大きな下落が発生すると予想すること同等の思考回路です。

アセットを購入することは値上りを期待することです。

値上りするような市場環境に戻るまで下落するアセットを指を咥えて眺めているだけで良いのです。

落ちるナイフにあえて神経を尖らせて対峙する必要はありません。