現在アメリカでは、エネルギー価格を中心に大きなインフレの波に飲み込まれている。
FRBは2022年3月から毎回のように政策金利を引き上げ、1年で約5%の利上げが行われた。
しかし、インフレのピークアウトが鮮明になっていると言われているが、そのインフレ圧力の完全な鎮静には至っていない。
短期的にインフレは克服でき、通常の金利水準に戻る(利下げが始まる)という楽観的な見方もあるが、その判断は受け入れにくいだろう。
金利は信用の有無で算定されるものだが、中央銀行による利上げは一律に人々の信用スコアを下げる行為である。
つまり、新たな信用創造を減少させ、借入で支出されるお金の量を減らすことです。
また、金利を上げることで利払いを増やし、さらに支出に回すお金の量を減らす効果があります。
企業価値においても、投資による価値を表す正味現在価値が金利上昇分減少し、設備投資の価値が下がる効果があります。
つまりFRBの行っている利上げは経済活動による支出を減らすことで購買力を奪い、インフレを鎮静化させようというものです。
これは、物資の需給が適正であった場合に効果が得られるものであるが、サプライチェーン問題や地政学的リスクが起こっている世界の現状では、人々の生活を一方的に圧迫させるだけの政策となる可能性がある。
まだ失業率は低水準で雇用は安定しているが、この指標が悪化した場合は非常に危険です。
雇用が安定している限り、生活水準を保つことは可能だが、これが困難になった場合に信用不安が広がり、世界経済の急減速は不可避となるだろう。
FRBは注意を払って経済の急減速とインフレの抑制に努めているが、適温経済に移行できなかった場合には、個人投資家は資産を守るために様々な方法を見出さなければならない
・経済の急減速が起こった場合
ディフェンシブ銘柄、圧倒的なブランド力を持ち価格決定力の企業に投資し、増やすというより守る投資が必要。ハイテク株を中心としたグロース株への投資は金融緩和が行われるまで見送るべき
・インフレが抑制されない場合
金融、商社、エネルギーセクターは金利や資源価格に依存するため、2022年に引き続き投資先としてまだ魅力的な投資先だと思います。
しかし、スタグフレーションが起こるような最悪の事態が起こるならば、様々な投資から離れなければならないと考えます。
・インフレが抑制した場合
FRBが利下げ方向に政策変更すると考えられ、ハイテク株を中心としたグロース株への投資は魅力的なものになると思います。
現状はアメリカの利上げは終盤との認識が市場では多数派となっているが、FRBの金融政策と市場の認識が実体経済と乖離するようであれば柔軟にポジションを変更しなければならないと思います。
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