米国VIの商品説明

米国VIVIX先物のF1(期近)を取引する商品です。

取引通貨はUSドル、倍率10倍、レバレッジは5倍.

取引値段が15の場合、15ドルのことで日本円にして1,650円(1ドル110円換算)の売買になります。

倍率とは株で言う単元枚数のことで、取引値段が15で1単元売買することは10倍の150ドル分の売買高になります。

レバレッジは取引に必要な資金量です。

取引値段が15で1単元売買すると150ドル分の取引になりますが、レバレッジ倍率(5倍)で割った30ドルがあれば取引ができます。また、この金額を必要証拠金と言います。


この商品の特徴は先物取引だが、償還期日がないということです。

その理由はF1の償還1週間前にF2(2限月)に乗り換える(ロールオーバー)ため、無期限に取引ができるように設計されています。

償還1週間前にロールオーバーする理由は開示していませんが、F1の特性上、償還が近づくに連れてVIX指数の値に向けて急激に変動しながら収束するためと、取引量の低下によるロールオーバーコスト(不利な値で取引する)の発生を抑制するためと考えられます。

F1からF2にロールオーバーする場合、価格差があります。

通常、F2F1と比べて高い値で取引されているため、買い方には利益が、売り方は損失が発生する。

そのことを避けるためにF1F2の価格差を価格調整金として徴収または付与している。

F1F2の場合(コンタンゴ)、買建てから調整金を徴収して売建てに付与する。

F1F2の場合(バックワーデーション)、売建てから調整金を徴収して買建てに付与する。

最初にVIXの平均値は16ですので、通常の相場状況であれば1418程度で値動きをします。そして重要なのはいくら上昇、下落しても必ず16近辺で戻るということです。

相場が安定していれば、17で売建てて15に低下、ロールオーバーで価格調整金を貰い、17から再スタートというのが1か月の流れです。

しかし、そんな美味しい話はありません。

それはVIX指数に上限がないということです。

売建てていた場合、無限に損することが可能です。

もし、株価の急落しVIX指数が急騰した場合、同じように米国VIは上昇します。

VIXの性質上、たった1%予想変動率が上がるだけでVIX指数は3.4上がります。

そのため、米国VIも簡単に203040とスルスルと上昇してしまいます。

レバレッジを掛けなくても30を超えればほぼ全損です。

米国VIはレバレッジ5倍なので、その1/5で全損になります。

そのため、必要証拠金のほかに追加資金(任意証拠金)を加えてロスカット(強制決済)のレートを変更します。

大量の資金がある場合には追加入金してロスカットレートを引き上げて、ロスカットを防ぐことは可能です。

危機が過ぎ去れば、危機なんてなかったかのように毎月コツコツ利益を得ることができます。

ただし、追加資金が枯渇してしまえば全損ですし、持ちこたえたとしても長期間、多額の含み損を抱えることにもなります。

そのためロスカットレートの引き上げは諸刃の剣とも言えます。

こまで耐えるか、あきらめるかはその人の投資戦略次第です。

 

ここで目安を提示しておきます。

有名なVIX投資ブログなどではロスカットレートを50にすれば、大丈夫としています。

50というのはリーマンショック、コロナショックには耐えられないが、他の危機全てに耐えることができるという値です。

中国経済危機、VIXショックの時にVIX指数は瞬間的に50を超えていますが、米国VI50を超えていません。

考え方を変えると、前出のひと月の流れで毎月コツコツ20ドル得るためには、いつかは330ドルの損失を覚悟しなければならないということです。

私は割に合わないと思います。


自分の考えですが、ソルステイン・キャピタルのナディーン・ターマンCEOはVIX指数が31を上回る状況では投資不可能と発言しています。

これは31を超える水準になると安全資産と言われている金や米国債にも換金売りが発生し、全ての投資対象が値下がりすることを意味しています。

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このことを踏まえて、2000年以降のVIXの週足推移を見ると、31を超えた時は8回あります。

30台で収まったのは2回で、40以上になるとその3倍の6回あります。

そして40以上になった6回のうち2回(リーマンショック、コロナショック)80以上になっています。

さらに掘り下げて、25を超えたものを数えると19回あり、31までに収まったのは11回になります。

25を超えてくると収まるか暴落するか半分程度、31を超えるとさらに危険度は増すと考えたほうが良い。

ロスカットレートの設定はVIX指数が2531の時の米国VIの値にすれば良いのですが、直接計算することができないので1割引いた22.5または28を目安に上限とすることが良いでしょう。

また、その値で新規に買建てを行い、両建てにしても同じような効果があります。

そこは個別の投資戦略によると思います。


そして一番やってはいけないのがナンピン(新規の売建て)をすることです。

ナンピンは売建ての平均単価を引き上げることは可能ですが、含み損は減りません。

目論見どおりVIX指数が落ち着けば多額の利益が出ますが、前出の通り25を超えてくると収まるか暴落するか半々、31を超えるとさらに危険度は増すという過去の値動きに従えば、運が良かっただけのことになります。

 

また、VIX指数が高い時期に米国VIを売建てることは不利である点があります。

VIXの高騰時は必ずバックワーデーションのため、F1F2でロールオーバーするためVIXショートの戦略と真逆のことが起きてしまいます。

例えば17で売建てていた場合、ロールオーバー時にF125まで上昇して、23と価格の低いF2に価格調整されてしまうと、その後15以下まで下がらないと含み損が解消されないことになります。

そのため、VIX指数が高い場合にはスイングトレードするぐらいで、米国VIの売建ては決済しておくことが生き残る戦略として必要です。