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旅行大手のHISが、1000人規模の社員をグループ外へ一時的に出向させる方向で検討している。

受け入れ先として、パソコン販売のPCデポが2年を目安に最大400人程度と表明している。

HISは新型コロナウイルス流行で旅行需要が激減。

業績が大きく落ち込む中、人件費を削減とともに新卒採用も見送った。

 

HISは昨年6月に新宿エリアから虎ノ門エリアの神谷町トラストタワーに移転している。

それに合わせ、本社の入居フロアを約300億円で取得している。img_kamiyacho_tt



昔から本社ビルの新築は業績の低迷、株価の低迷の指標としてよく語られてます。

外部要因はあるにせよ、HISもその法則にあぶれることなく、凋落するきっかけとなってしまった。


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そもそも、なぜ本社ビルの取得が業績悪化のサインになるのか?

立派な新社屋、華やかなオフィスは社員のやる気を引き出し、業績がさらに上向く原動力になるはずでは?

それは本社というのはおカネを生まない「設備」だからです。

これが工場、研究所、店舗など、純粋な「設備投資」となっていれば問題はありませんが、本社だけは別物です。

これは経営陣の意向が反映されやすく、「見栄」「所有欲」など経営者の資質が問われるためです。

経営者としては、売り上げに貢献しない新社屋には、必要以上にお金をかけている必要はありません。

 

取引したいと思う企業なら取引先は遠方だろうと、ボロだろうと足繁く来社してくれます。

イメージ戦略は大切ですが、本社機能は費用対効果も求められます。

優良企業を例に出すと、工作機械のファナックは山梨の山奥に、ニトリも本社は創業地の札幌から移転していません。

 

純資産が1000億円程度の企業が、300億円の本社オフィスを取得するのは、身の丈に合っていたのでしょうか?

HISの正念場になるでしょう。