eca2003202330005-p1


 

相場の格言には「見切り千両 損切り万両」という格言があります。

予想が外れた時は早めに見切って、損失を限定させる方法です。

そして、回復を願って保有し続けると、さらに損失が膨らんでしまうとするものです。

 

投資では想定外の方向に動いてしまい損失が発生することが多々あります。

しかし、投資初心者ほど、ロスカットすることは受け入れがたい行動です。

それを回避するために値が戻るまで持ち続ける、いわゆる塩漬けにすることも検討すると思います。

一方で利益が出た時はすぐにでも利益を確定したくなる衝動にかられます。

それはどうしてなのでしょうか?

 

甲南大学の経済行動学者 筒井義郎氏は「人は得られた金額と失った金額が同額であっても、失った金額をより意識しやすい」と考察しています。

簡単に説明すると、道で1万円拾ったことよりも1万円落としたことの方が心は大きく振れるということです。

 

投資において想定外の損失を被った場合、ロスカットすることは損失を確定する行為です。

そして何より気にするのが「ロスカットした後に買値まで戻してしまったら」という心理的ダメージの度合いです。

人間は本能的にそのショックの大きさを経験しているため、それを回避しようとします。

そうすると、ロスカット後に買値まで戻してしまった時の心理的ショックと現在の損失による心理的ショックを天秤にかけると、ロスカットしない方が有益と頭が勘違いしてしまうためです。

つまり、失う金額を意識するあまり、損得判断が正常に出来なくなってしまうのです。